新世代インフルエンサーは POP Music でこそ輝く
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デュア・リパの両親はコソボ(旧ユーゴスラビア連邦)系アルバニア人でリパはロンドンで生まれた。
10代前半からYouTubeに動画を投稿していた。当初はモデルとして活躍するなど現代における象徴的なサクセスストーリーをもつ彼女だが、ポップミュージックにおいてはその楽曲制作に秀でた才能があってこその成功とも云える。
イギリスのブリット・アワードを6回、グラミー賞を3回受賞するなど若いキャリアでありながらすでに多くの賞賛を集めており、いまやイギリスを代表するPOPアイコンでありシンガーソングライターとなった。
2013年リパはカクテルバーでウェイトレスとして働きながらモデルの仕事などをしながら自身の楽曲をYouTube動画に投稿していた。そんな彼女にベン・モーソンとエド・ミレットが率いる Tap Management がマネージメント契約を持ち込む。弁護士からリパに紹介されたモーソンは、その当時リパに持ちかけられていた別の契約にサインすることを思いとどまらせ、ウェイトレス仕事を辞めて音楽制作に専念できるようにと月給制での契約条件を提示した。これを機会にリパは “Hotter Than Hell” という楽曲を Gez O’Connell らと共作。この曲をもって2014年にワーナー・ブラザースとレコード契約を結ぶことになる。ミレットは振り返って「デュアは本当に賢くてワーナー・ブラザースと契約したのは、彼等には当時優れた女性ポップアーティストが所属しておらず彼等にとって必要だったから。彼らは本当に彼女を求めていたので彼女は初日からチームの中心になった」と語っている。
2015年8月エミール・ヘイニーとアンドリュー・ワイアットがプロデュースした1stシングル “New Love” をワーナーからリリースしてデビュー。2ndシングル “Be the One” を2015年10月にリリースしてこの曲で最初の成功をヨーロッパで収めることになる。多くの欧州各国でチャート1位を獲得したほかヨーロッパ各地でトップ10入りした。
イギリスおよびヨーロッパでの最初のツアーは、2016年1月に始まり約1年間にわたるサーキットを行う。2016年2月に3rdシングル “Last Dance” をリリース。同年5月に先の “Hotter than Hell” を4thシングルとしてリリースする。結局このデビュー前に制作した楽曲が本国イギリスで成功を収めるブレイクスルーとなり全英チャートで15位を記録した。8月には通算で5枚目となるシングル “Blow Your Mind (Mwah)” がリリースされてイギリスで30位を記録。この曲はアメリカのビルボードHot100にも初登場して最高72位を記録。同時にビルボードのDance Club Songsチャートでは首位を獲得しビルボードMainstream Top40チャートでも23位を記録した。
これらのシングルリリースで着実に名前と実力を上げてきたリパは、2016年11月ジャマイカで人気のダンスホールレゲエのシンガー、ショーン・ポール Sean Paul のシングル “No Lie (feat. Dua Lipa)” にフューチャーされてこれが全英10位を記録する。この曲はリリースから6年後に10カ国でトップ10ヒットとなり2022年12月の時点でショーン・ポールの最もストリーミングされた曲となった。そのMVは2022年4月にYouTubeで10億回再生を突破している。
さらにはマーティン・ガリックス Martin Garrix とのコラボシングル “Scared to Be Lonely” も2016年11月にリリースして全英14位を記録するなどコラボを積極的に推し進める。
こうした活動を経て満を持して2017年自身の名を冠したデビューアルバム『Dua Lipa』を2017年6月にリリース。実に2013年から2017年にかけてレコーディングされた珠玉のナンバーがこのアルバムには収録されることになった。
このアルバムはさらに彼女をスターダムにのし上げる結果となり全英アルバムチャートで3位を記録。シングルカットされた “IDGAF” は2018年UKミュージック・ビデオ・アワードで最優秀ポップビデオUKを受賞。そして “New Rules” が全英シングル・チャートの1位を獲得するなどして大きな成功を収める。この年リパはブリット・アワードの英国女性ソロ・アーティスト賞と英国ブレイクスルー・アクト賞を受賞する。
その後もカルヴィン・ハリス Kalvin Harris とのコラボシングル “One Kiss” が2018年最も売れた曲となるなどしてブリット・アワードのソング・オブ・ザ・イヤーを受賞。2019年にはシルク・シティ Silk City とのコラボシングル “Electricity” でついにグラミー賞最優秀新人賞と最優秀ダンスレコーディング賞を受賞することになる。
アルバム『Dua Lipa』は Complete Editon と銘打たれた2枚組バージョンが2018年10月に追加リリースされており、このバージョンでは、数多くのアーティストとのコラボ曲も多数追加収録されている。
リパの声域はメゾソプラノまたはコントラルト(女性の最低声域で男性の高域アルトに相当)と表現されているように独特なハスキーヴォイスを使いながら低い音域で歌うスタイルがその個性を際立たせている。楽曲ジャンルはニューディスコ,シンセポップ,ハウスなど広くダンスミュージックを網羅するだけでなくR&Bやオルタナティヴポップをカバーしておりいかにも現代的トレンドに沿っているが、何よりフックの効いた覚えやすい楽曲の強さがポップミュージックとして最大のヒット要因であることは間違いない。彼女は、カイリー・ミノーグ,ピンク,クリスティーナ・アギレラ,デスティニーズ・チャイルド,ネリー・ファータドといったアーティストを自身の音楽的影響として挙げている。
ファッションモデルとしても活躍を続けており、いわゆるインフルエンサーとして今後も世界中から注目される存在であり続けるだろうが、純粋にポップミュージシャンとしての才能を今後も大いに発揮してくれることを期待してる。
Origin : | London, England, U.K. |
Released : | 2017. 6. 2 |
Label : | Warner Bros. |
Producer : | Axident, Digital Farm Animals, James Flannigan, Emile HaynieIan, Kirkpatrick, Stephen “Koz” Kozmeniuk, Jon Levine, Miguel, Bill Rahko, Ten Ven TMS, Greg Wells, Eg White, Andrew Wyatt |
Studio : | Atlantic, Comic Sands, Paramount, Pulse, Rocket Carousel, The Synagogue (Los Angeles) Eg’s, HyGrade, The Music Shed, Sarm, TaP / Strongroom 7, Wendyhouse (London) KasaKoz (Toronto) Modulator Music (Canada) NRG (North Hollywood) Sony/ATV[note 2] Woodshed (Malibu) Zenseven (Woodland Hills) |