チープなジャケ絵に隠された秘密
#0012
ジャーマン産の80年代パワーメタルバンド。セールス的にはほとんど恵まれていなかったと思うが、典型的なジャーマンメタルを高い演奏力で聴かせてくれる。
デビュー当時はSF的コンセプトイメージだったらしくそのコスプレ姿も痛々しい。映画ターミネータを彷彿とさせるデビューアルバムのジャケアートがまた強烈だ。
1stアルバム『Hypertrace』では HALLOWEENクローン臭さが否定できないが、この2ndアルバム『Terminal Earth』に至っては、これぞジャーマンメタルといったものを良質に体現している。
なおこの2ndで既にヴォーカルが変わっているのだが、このバンドの個性はより前面に出てきている。
1stも酷いがこの2ndアルバムのアートワークはさらにヨンボリするチープなSF的イラストで自らがB級であることを声高に主張しているからのようだ。アルバムを手に取った時点で普通の人なら十中八九買わないだろう(笑)
ただスラッシュ好きのメタルヘッズは知っている。
ジャケ絵がショボいほど、ダサければダサいほど、そこに名盤が隠れていることを(個人の見解)
実際、この円盤を聴くと精緻に刻まれるスピード感溢れるリフ、ハイトーンでもクリーンなヴォーカル、パワフルなコーラスを多用したメロディアスなサビ、どこをとってもこれぞジャーマンメタルという音を繰り広げておりサウンドプロダクションも悪くない。
これをB級、C級と決めつけて埋もれさせるには余りにもったいない。スピードメタルからパワーメタルへの発芽が見てとれる。もしヘヴィメタルの歴史を学ぶ学生さんからジャーマンメタルとは何か?という問いを受けたら HALLOWEEN よりもこちらが相応しい答えになるのかもしれない。
なおWikipediaなどによると、現在も解散はしておらず激しいメンバーチェンジを繰り返しながらも、オリジナルメンバー Axel A.J. Julius(Gt.)が中心となって存続しているようだ。
もし HALLOWEEN や GAMMA RAY あたりのジャーマン好きで、この SCANNER をまだ聴いたことがないという人がいたら、是非ジャケ絵は忘れて彼等の音に耳を傾けてみて欲しい。
Origin : | Germany ![]() |
Released : | 1989 |
Label : | Noise Records |