北の国から舞い降りた綿菓子
#0017
2011年に北海道のローカルアイドルプロジェクトを発端にして4人編成のバンドアイドルWHY@DOLL(通称:ほわどる)としてスタート。程なくして二人組となり新たに東京へと拠点を移して活動を開始する。
バンドアイドル時代も含め4枚のシングルを出したあと2014年にビクターエンターテインメントから5thシングル『Magic Motion No.5』でメジャーデビュー。この年、札幌・大阪・名古屋・東京の4都市でツアーを敢行。その後は2019年11月に惜しまれつつ解散するまでほぼ毎年のようにワンマンでの全国ツアーを開催している。
ふわっとした柔らかい雰囲気に綿菓子のような甘い歌声の青木千春(ちはるん)、芯のある歌声にちゃっきとした性格の浦谷はるな(はーちゃん)という対照的なキャラクターに、しっかり作り込まれたPOPな楽曲を二人で唄うデュオスタイルで当時のライブアイドルの中では抜きん出た”歌”を聴かせるアイドルだった。
タワーレコードが設立したアイドル専門レーベル T-Pallet Records 移籍後にリリースした8th『菫アイオライト』,9th『キミはSteady』の表題シングル2曲を含む書き下ろし8曲を収録し、セルフタイトルを冠したアルバムがこの『WHY@DOLL』で、吉田哲人(M-1, 10 作編曲),仮谷せいら(M-3, 8 作詞),ONIGAWARA(M-2, 4 作編曲)といったバリエーション豊かな作家陣が参加している。
なおジャケットのアートワークは前のアルバムに引き続き、漫画『ツルモク独身寮』や『ワタナベ』でも知られる窪之内英策氏がイラストを寄せている。

M-1. | 菫アイオライト | 作詞:つのだゆみこ/作曲:吉田哲人/編曲:吉田哲人,長谷泰宏(ユメトコメ) |
M-2. | キミはSteady | 作詞:竹内サティフォ/作曲・編曲:ONIGAWARA |
M-3. | Tokyo Dancing | 作詞:仮谷せいら/作曲/編曲:Jess & Kenji(give me wallets) |
M-4. | 恋なのかな? | 作詞:竹内サティフォ/作曲・編曲:ONIGAWARA |
M-5. | マホウノカガミ | 作詞・作曲・編曲:Sosuke Oikawa(CICADA) |
M-6. | 忘れないで | 作詞・作曲:保坂ねこ/編曲:保坂ねこ,parkman |
M-7. | Dreamin’ Night | 作詞・作曲・編曲:Sosuke Oikawa(CICADA) |
M-8. | 夜を泳いで | 作詞:仮谷せいら/作曲:Jess & Kenji(give me wallets)/編曲:Kenji(give me wallets) |
M-9. | Hello, Hello, Hello | 作詞・作曲:保坂ねこ/編曲:保坂ねこ,parkman |
M-10 | 恋はシュビドゥビドゥバ! | 作詞:青木千春,浦谷はるな / 作曲:吉田哲人 / 編曲:吉田哲人,長谷泰宏 |
食わず嫌いの人はアイドル楽曲なんかと云わず聴いてみて欲しい。アルバム冒頭かっこいいカッティングギターからはじまる M-1. “菫アイオライト”からして「おっ?!」と耳を傾けるはずだ。
小気味よく跳ねるMoog風シンセベースにストリングスやホーンセクションを使った贅沢なイントロにちはるんの砂糖菓子のような甘い歌声が乗ってきてワクワクと期待できる幕開けだ。
M-3. “Tokyo Dancing” は’80年代風のちょっと懐かしくなるアイドルらしいダンスナンバーだし、M-4. “恋なのかな?”もちょっとレトロなアイドル歌謡曲風の歌詞とアレンジでたたみかける。
前半はライブでも盛り上がる曲ばかりだが、その中でちょっと異彩を放つのが後半に収録されている M-8.”夜を泳いで”というスローテンポな楽曲で、TR-808風のリズムトラックに女性コーラスがゆったりと漂うチルな雰囲気を纏っており、二人が優しく唄う仮谷せいらの歌詞がとても沁みる。
M-9. “Hello, Hello, Hello” はサウンドトラック風なアコースティックナンバー。全体を通して多彩な楽曲で構成された良質のガールズPOPアルバムに仕上がっている。ラストM-10. では二人が作詞にもチャレンジしており元気に女の子らしい恋心を素直に歌いあげている。
アイドルという枠にとどまらず広くJ-POP好きな人に聴いて欲しい1枚。
Origin : | 北海道, 日本(Hokkaido, Japan) ![]() |
Released : | 2017. 8. 1 |
Label : | T-Palett Records |