4ネックギターの衝撃
#0019
日本市場で人気がブレイクして本国に逆輸入される形でロックヒーローになるというパターンがたまにある。最近新作の製作を発表をした Mr.BIGなんかもよく知られた例だろう。そんな日本先行ブレイクの先駆けが誰でどのバンドかは知らないが、かなり古い部類に入るであろうバンドがこの CHEAP TRICK だ。
イリノイ州ロックフォード出身の彼等は3枚のアルバムをエピックから発売していたいたが鳴かず飛ばず。それがなぜか日本ではシングル”I Want You to Want Me”(邦題:甘い罠)がじわじわと売れてついにはオリコンチャート入り、これにつられるようにこの2ndアルバム『In Colors』(邦題:蒼ざめたハイウェイ)も売れていった。
1978年春ににはジャパンツアーを開催。この時の大阪厚生年金会館と武道館公演の内容を編集したライブアルバムを『チープトリック at武道館』としてリリース。これが日本でヒットしたことで米国でもじわじわと知られるようになったようで当時は日本盤が輸入盤として売れていたが、ついにはUS盤が発売されるに至ったそうだ。
HMV&BOOKS online CHEAP TRICK – At Budokan日本では当時からライブアルバムの人気がとても高い。ロック史上における傑作ライブアルバムとして名高い Deep Purple の『ライヴ・イン・ジャパン』(1972)で広く知られるようになったことで、”武道館”の名前は海外アーティストにとって聖地となったし、実際に多くのアーティストやロックバンドが武道館公演を挙行してライブアルバムを出すことがひとつのステータスとなっていったという背景もある。
そんなパープルから遅れること数年。日本の地に降り立ったチープ・トリックだったが、その人気は凄まじかったようでタクシーを何台も連ねた追っかけが現れ、ロビン・サンダー (Vo.) にはつねに女性達の黄色い声援が絶えなかったとか。まぁイケメンですからね、、、
しかし日本の男たちは(いや知らんけど)少なくとも自分が最初に驚いたのはリック・ニールセンの4本ギター写真を見たときだった。
なんだよコレ、、、ホントにこれでプレイするの?ってのが最初の感想。でもまぁちょっと目がいっちゃてるし、あまり関わっちゃいけないタイプの人やなこれはと中学生ながらに思ったのは確か(笑)
その後オリジナルの4本ネックギター(年齢を重ねて5ネックギターに進化w)がトレードマークになったのは周知の通り。
ちなみに当初バンドの提示したセットリストに”I Want You To Want Me”は含まれていなかったらしい。しかし日本ではこの曲が大人気なんだと聞いて急遽リストに追加したとか。当時のパフォーマンスが公式YouTubeにもアップされている。(リック・ニールセンやっぱヤバいwww)
このアルバム『In Color』は本国アメリカでは Power Pop ジャンルの古典とされている。日本ではあまり聞き覚えがないパワーポップというジャンルだが、ビートルズをルーツとして THE WHO がその起源とされており、米国ではこの CHEAP TRICK や THE CARS,WEEZER などがその代表格となっている。
実際このアルバムには、大ヒット曲 M-4. “I Want You to Want Me” だけでなく、ミドルテンポにロビンの甘い歌声が魅力の M-5. “Oh Caroline”や、学校のチャイムのようなSEではじまる M-6. ”Clock Strikes Ten” 、途中テンポアップしたり戻ったりする曲構成が面白くバン・E・カルロスの軽妙なドラミングが聴ける M-6. “Southern Girls”、彼等のライブでも定番レパートリーとなった M-7. “Come On, Come On” など良曲が多く収録されている。
Origin : | Rockford, Illinois, United States |
Released : | 1977. 9. 1 |
Label : | Epic |
Producer : | Tom Werman |
Studio : | Kendun Recorders |