サタニズムを標榜する甘口ドゥーム
#0002
リー・ドリアン(CATHEDRAL)率いるレーベル Rise Avobe Records から出現したスウェーデンの新人バンド。ただし首魁リー・ドリアンのようなドゥームメタルではなく、あくまでハードロックにカテゴライズされる音楽性にあって、レトロかつドゥーミーな雰囲気とサタニズムな歌詞が個性となっていた(バンド名被りでアメリカではGHOST B.C.としてる)
彼等のデビューアルバム『Opus Eponymous』はそんな作品だった。同門の ELECTRICAL WIZARDS ほどどっぷりとしたストーナーメタルでもない。

全編にビンテージ風味なオルガンを配して、耳に馴染む歪んだSGサウンドのギターリフ、そして当時の若手バンドがこぞってグロウルを採用していた中にあっては、珍しくごくごくノーマルで肩に全く力の入っていないトビアス・フォージ (Tobias Forge) のヴォーカルが印象深くメタルというよりもむしろプログレッシブなハードポップといった趣でさえあった。
しかしその歌詞はオカルト嗜好が前面に押し出されていたため、そのサウンドとのミスマッチがかえって趣があり心地よい。ブルータルなサタニズムではなくバンド名の通り霊的なものへの畏怖と邪悪なものへの怖さが表現されていると云えばいいだろうか。
ステージメイクにも独自の趣向が凝らされていて、かつての MERCYFUL FATE を想起させる部分もあるがヒステリックな高音ヴォイスで恐怖感を演出していったキング・ダイアモンドとは対照的にその甘いヴォーカルが特徴的なのでアプローチの違いは大きい。
なおヴォーカルのトビアス・フォージ にはキャラクターの変遷があり、マスクで素顔を隠したバンドメンバーはネームレスグール等と呼ばれている(詳しくはWikiへ)
7inch シングルとしてもリリースされ美しいコーラスが耳に残る M−4 “Elizabeth”は「血の伯爵夫人」として悪名高い実在の殺人鬼 Elizabeth Bathory をモチーフにしている。トランシルバニア出身の貴族でありながら 600人以上を手にかけて自らの若さを保つため処女の生き血で湯船を満たしたというエビソードが残る筋金入りの凄惨なエピソードだ。
その後、GHOST のユニークで唯一無二のスタイルは多くのメタルファンやその筋の暗黒エンタメが好きな者達の心を捉えて大きな人気を得ることになった。
Origin : | Sweden ![]() |
Released : | 2010.10.18 |
Label : | Rise Above, Metal Blade(US), Trooper Entertaiment(Jpn) |
Producer : | Gene Walker |