ハードロックとブルースの回廊
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アイルランドのダブリン出身(生まれは北アイルランド・ベルファスト)のギタリスト GARY MOORE のキャリアにおいて4枚目のスタジオアルバム(G-FORCEを含む)にあたる本作『Corridors of Power』は、ヴァージンレコード移籍第一弾であり、彼がハードロックからメタル指向に近づいた最初のアルバムだったのではないかと思う。それはディストーションで大きく歪ませたパワフルなリフではじまる M-1. “Don’t Take Me For a Looser” や、中盤に収録された M-6. “End of The World” で2分を超える速弾きギターソロでオープニングを飾るあたりにも伺われる。
さらにニール・マレイ(ex.Whitesnake),イアン・ペイス(ex. Deep Purple, Whitesnake)といった日本でもHR/HM界隈にネームバリューがあったメンバーをサポートに迎えて製作されており(のちに二人は正式にバンドメンバーとなる)そのため本作の日本での評判も上々だった。
そんな人気に目をつけた当時のソニーレコードがその前作として録音はされていたが、レーベル(ジェットレコード)とのトラブルでお蔵入りになっていた『Dirty Fingers』の版権を獲得し、後から「ゲイリー・ムーア幻のアルバム発売」と銘打って日本盤をリリースしている。
(このアルバムについてもいずれこのブログに書きたいと思っている)
自分がゲイリー・ムーアのプレイする映像を初めて観たのもMTVに流れた M-2. “Always Gonna Love You” で、これだけ正確な高速ピッキングの速弾きをプレイしながら、ヴォーカルも自分でやるのかと驚いたのを覚えている。
ゲイリーお得意の泣きのギターが聴けるM-5. “Falling Love With You” ではキーボードにドン・エイリー(ex. Rainbowや後期Deep Purle)や、名うてのベースプレイヤーのモ・フォスター(MSGの1st)なども参加している。
その後しばらくの間、いわゆるMTV時代のゲイリー・ムーアはギターヒーローとしての地位を確立するが、1990年代に入ると『Still Got The Blues』リリースをきっかけにブルースへと傾倒(というか回帰)することになるため、Thin Lizzy 在籍時のハードロック時代からギターヒーローへの道のりにおいて、このアルバムが大きなターニングポイントになったと云えるかもしれない。
なお本作のリマスターCDが2022年に発売された時にはボーナストラックとして収録された “Love Can Make a Fool of You” を、浜田麻里が別名”Love Love Love”というタイトル(ギターはB’zの松本孝弘)でカバーしている。
このアルバムに収録されていない曲でも好きなナンバーはたくさんあるが、アルバムとして考えた時にはこの『Corridors of Power』が最も好きな作品で現在でもターンテーブルに乗せる機会は多い。管理人にとってもお気に入りの一枚だ。
Origin : | Dubline, Ireland |
Released : | 1982. 10 |
Label : | Virgin Records |
Producer : | Jeff Glixman |
Studio : | Townhouse Studios, AIR at London, UK |