4人とサポートの妙が織りなす名盤
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イギリス出身のミック・ジョーンズ(Gt.)とアメリカはニューヨーク州出身のルー・グラム(Vo.)が中心となって結成されたフォリナー(FOREIGNER)の4枚目のスタジオアルバムである。(間違いない笑)
ただこのアルバムは当初『Silent Partners』というタイトルになる予定だったがのちに『4』に変更されている。この印象的なタイトルはフォーリナー4枚目のスタジオアルバムであることだけでなく、この前年にバンドが結成当初の6人から4人にメンバー変更があったことも意味している。
1980年9月にバンド創設時のオリジナルメンバーでもあったアル・グリーンウッドとイアン・マクドナルドが解雇されていたのだ。その大きな理由はミック・ジョーンズがバンドをもっと自身でコントロールしたがったこと、さらに(ルー・グラムとともに)ほとんどの曲を自分で書くことを望んだからとされている。
その影響もあってか音楽的にもこの時期に変化が見られ、バンドはプログレッシブ・ハードロックからより親しみやすい産業ロック的ポップミュージックへとシフトしていることがわかる。そしてそのことは結果的に、このアルバムで世界的な大成功を収めることになり、ビルボードのアルバムチャートで10週連続1位を獲得。アメリカ国内だけで600万枚以上、全世界では1,500 万枚を超える大ヒットとなった。

フォリナーはデビュー当初から成功を収めていたバンドだったが、メンバーチェンジという変化を踏み越えて、このアルバム『4』でその頂点に達したのだ。
実際のところこのアルバムには多くのポップロック、AORバラードの名曲たちが収録されている。カナディアンロックの影響を感じさせるリフで幕開けしてエネルギッシュな魅力でアルバムのオープニングを飾る M-1. ”Night Life” から、一転してミドルテンポの印象的なベースとシンセサイザーのイントロからゆっくりとはじまる M-2. ”Juke Box Hero” は徐々にハードポップな盛り上がりを魅せる。
少しアルバムの話から脱線するが、この大ヒット曲 “Juke Box Hero” が最近のラインナップにおいてオーケストラとコラボしたパフォーマンスが披露されている。2005年からヴォーカルを務めるケリー・ハンセン (ex.Hurricane)がとんでもないロングトーンを聴かせてくれている。聴衆のみならず共演している舞台上のオーケストラの面々さえ驚嘆(というか半分あきれている)している様子が面白い。
また聴衆が往年の名曲を心底楽しんでいる姿も微笑ましい。
名盤『4』にはこれだけでなくAORバラードの名曲 M-4. “Waiting for a Girl Like You” や、幻想的なギター多重トラックが心地よい M-6. “Urgent” などヒット曲が目白押しだ。管理人はこれ以外にもスローなテンポで聴かせる M-9. “Girl on the Moon” や、印象的なキーボードのイントロが美しい M-3. “Break It Up” などもお気に入りでまさに捨て曲なし珠玉のアルバムと云えるだろう。あれだけのセールスを記録していまなお広く聴かれ続けているのだから。
なおアルバム全編を通してシンセサイザーの素晴らしい効果が織り込まれているが、これはサポートメンバーにクレジットされている トーマス・ドルビー(アルバム『The Golden Age of Wireless』などで知られる) の手腕によるところが大きいと思われる。それは ”Urgent” や “Waiting for a Girl Like You” などのプレイで聴くことができる。また彼だけでなく “Juke Box Hero” や “Break It Up” ,M-10.の ”Don’t Let Go” では、東京ディズニーシーの音楽製作にも携わった Larry Fast がシンセサイザープレイをサポートしている。
ギター主導のポップロックアルバムではあるものの、このあたりの隠れた妙といった共演もこのアルバムの質を押し上げている理由だろう。
Origin : | United States ![]() |
Released : | 1981. 7. 3 |
Label : | Robert John “Mutt” Lange, Mick Jones |
Producer : | Atlantic Records |
Studio : | Electric Lady Studios (Greenwich Village, NYC) |