ヘルシンキに立つヒットメーカー
#0037
ザ・ラスムス(The Rasmus)は作曲とメインVo.を務めるラウル・ヨーネン(Lauri Ylönen)ら創始メンバーがまだ高校在学中である 1994 年にヘルシンキで結成された。1996年にデビューアルバムがいきなりゴールドディスクを獲得。同年中に 2nd, 3rdとEPながら順調にリリースを重ね、シングルが国内チャートで8位になる。翌年には EMMA(フィンランドの音楽賞)の1996年度最優秀新人賞を受賞。そうしたなかラウリとGt.のパウリ・ランタサルミ(Pauli Rantasalmi)は The Rasmus での音楽活動に専念するため学校を辞めることを決意する。
デビューから初期の頃は映画『ゴーストバスターズ』のテーマ曲をカバーするなど、若者らしい明快なポップロックでラップ調やソウル風も織り交ぜたミクスチャー試行だったが、作品を重ねるごとに徐々にゴシック寄りのオルタナティヴロックに変遷していく。その片鱗が見え始めたのが 4thアルバム『Into』あたりからで、2003年にリリースされたこの5thアルバム『Dead Letters』で完全にゴシックロックという現在まで続くスタイルを確立する。バンドロゴもこのアルバムジャケットのものからゴシックロックを彷彿とさせるロゴが採用され、次作『Hide from the Sun』までは続けて同じロゴを使用している。
それは同時にバンド躍進のきっかけともなり、このアルバムは8つのゴールドと6つのプラチナを獲得。リードシングル M-2. “In the Shadows” は100万枚以上を売り上げて、当時のフィンランド作曲家による海外での演奏印税記録を塗り替える。なおその記録相手とは偉大なる交響詩『フィンランディア』で知られる、フィンランドの大作曲家シベリウスだ。
余談になるが管理人この交響詩『フィンランディア』が大好きで、特にベルグルンド指揮によるヘルシンキ・フィルの録音は最高なので是非聴いてみて欲しいクラシックの逸品。ここではBBCによる演奏でご紹介。
そんなシベリウス以来の記録さえも更新したこのアルバム『Dead Letter』は、国内はもちろんヨーロッパ各国で高く評価され、バンドにとって初めて世界各地にリリースされる商業的成功を得た作品となった。

特に先のM-2.”In the Shadow” から M-3. ”In My Life”、そしてM-4. ”Still Standing” の流れは秀逸で、ラウルの類い希なる歌メロの巧みさ、そしてコンポーザーとしての才能が溢れ出ている。
管理人は特に ”Still Standing” がお気に入りで、北欧らしい凍てつく大地を踏みしめながら美しい夜空を見上げて立っているかのような歌詞がとても素晴らしくラウルのソングライティングの才能に唸る一曲。
また M-6. ”Guilty” はゴシック風味でありつつも、かつてのポップロックを彷彿させる印象的でキャッチーな歌メロを存分に聴かせてくれる。こちらはMVも製作された。特にラスサビに展開する最後が素晴らしい。
バンドが切り開いたこのフックの効いた歌メロをゴシックロックに載せるスタイルは、それ以降も彼等のヒットチューンを生むメソッドとなってその後も順調にセールスを伸ばしていくことになる。
2008年の7th『Black Rose』まではハードロック要素を強めながらこの路線が続くため、そのあたりまでは管理人もこのラスマスを追っていたが、ラウルがソロアルバムを出すなどしていた前後にバンド活動が停滞していたあたりからあまりフォローアップできていない。
最近のシーンにカムバックした作品もまた改めて聴いてみようと思っている。
Origin : | Helsinki, Finland ![]() |
Released : | 2003. 3. 21 |
Label : | Playground Music |
Producer : | Martin Hansen, Mikael Nord |
Studio : | Nord Studios (Stockholm, Sweden) |